トライアスリートのパワートレーニング

パワートレーニングって?

少し前までは、値段が高価なな事もあり、パワーメーターを使用してトレーニングするのはプロだったり、少しマニアックなトレーニング好きだったりと、かなり少数派でしたが、現在はホイールのハブ型だけでなく、クランク型、ペダル型など様々なタイプのものが、各メーカーから発売され、値段が手頃(とは言っても高価ですが)な物も出てきて、一般ユーザーも増えてきましたね。

 

 

どちらかというとサイクリストよりトライアスリートの方が導入は遅れているかな?という感じでしたが、パイオニアのペダリングモニターの発売、そしてガーミンのペダル型パワーメーターガーミン発売されてからはユーザーも一気に増えたように感じ、練習会などでもパワーメーターについて聞かれる事も多くなりました。

 

 

 

そこで今日はパワートレーニングとはなんなのか?ということについて話して生きたいと思います。

 

 

パワートレーニングとはと聞くと何か特別なトレーニングなのでは?と思う方も多いと思うのですが、実はこれまでのトレーニングと何も変わりません。何も変わらないというと語弊があるのですが、基本的にやっているトレーニングは今も昔もそう変わってはいません。

 


ではパワートレーニングとは何か?

パワートレーニングとは、トレーニングの’指標’にパワーを使うトレーニングです。

 

 

パワーメーターが登場するまでは、トレーニングの指標として、スピードや心拍数を用いていました。

 

しかしスピードは屋外でトレーニングする場合においては、風の影響もあれば斜度の影響もあり、コンディションによって同じコースでも全く違うスピードになるということは多々あります。

また心拍についても、概ね自分の運動強度を把握するのに利用出来ますが、心拍数というのは運動強度以外の要素によっても変化します。

 

 

例えば気温が高い時は、体温を下げるために皮膚表面への血流が増すので同じ運動強度でも心拍数は高くなります。気温の低い冬と、気温の高い夏で走る時の苦しさが違うのはここに原因があります。

また、精神的なストレス状態によっても心拍数は変化したりします。

このように心拍数というのはトレーニング強度のみで変化するものではないので、純粋にトレーニング強度を定量化するのは難しくなってきます。

 

 

そこで、正確なトレーニング強度を求めるためにパワーメーターが開発され、トレーニングに活用されるようになりました。

 


パワーとはなにか?

ここで、パワーとは何か?について考えてみましょう。

 

 

パワーとは、スピードと力(トルク)を掛け合わせたものです。

パワーというと、力の部分のみを抜き出して理解している方が多いと思います。

例えば、身体が大きく、大きなギアをゴリゴリと踏んでいく人をパワーがあるとか、重たいものを持ち上げたり筋力が強かったりする人をパワーがあると呼んだりしますよね。

しかし本来はパワーとはスピード(速さ)×力(トルク)で表されます。

 

 

 

どういうことかというと…

 

 

 

 

ある人が20kgの重りを2秒かけてあげるのと、10kgの重りを1秒かけてあげるのは、実はパワー(w)は一緒だという事です。

前者の場合は重りは後者に比べて倍重たいですが、速度は半分です。後者は重りは軽いですが、速度は前者の2倍です。

そのため、これまでの感覚で考えると前者の重たい重りを持ち上げている方がパワーがあると感じてしまいがちですが、実は前者も後者も同じパワーを出しているのです。

 

 

 

パワーが何を示しているのかが分かってきたのではないでしょうか?

パワートレーニングとは、このスピードとトルクによってあらわされるパワーを指標にしてトレーニングをしていくものになります。

パワーを指標にするメリットとは?

まず第一に、自分が出している出力が瞬時に正確に測れることです。

 

 

トレーニングでは自分がどれだけ出力しているのかが大切になってきます。

 

 

 

これまでの心拍を指標にしたトレーニングでは、その心拍数を表している要因がトレーニング強度以外にもあるので、正確にはトレーニングの強度を図れないと話しました。

 

 

 

持久系のトレーニングではLT(乳酸性作業閾値)という、運動強度を上げていくときに急激に乳酸が上昇し始めるポイントを目安にすることが多いのですが、この値に達した時の心拍数をLTHR、この時のパワーをLTパワー(≒FTP)といいいます。

LTをのばすためのトレーニングを行うために、このLTHRをターゲットにトレーニングをしていると、実は同じ強度でトレーニングしていても、心拍数は少しずつ上昇してしまいます。

 

 

 

これは様々な要因が考えられますが、主に体温の上昇や体内の水分が少なくなってきているためと考えられます

つまり、心拍をターゲットにしたトレーニングを行っていると、時間の経過とともに同じペース、同じパワーで走っていたとしても徐々に心拍数は上昇してしまうので、その心拍数を抑えるためにペースを落とさなくてはなりません。

トレーニングではエネルギーを生み出す筋肉をしっかり鍛えなくてはいけませんが、その筋肉への刺激を徐々に減らす形になるので、トレーニングをしているつもりになり、実は効果的なトレーニングが行えていないということになるのです。

 

 

 

後半バテてくると、苦しくてペースは落ちているのに心拍数は落ちていないという事を経験した事がある方は多いはずです。

この時、苦しい事は苦しいので心肺機能に負荷はかけられても肝心な筋肉が動いてくれないので、早く走る事が出来ません。優秀なサイクリストが必ずしもランニングが速くないように、心肺機能の高いスイマーがマラソンを走りきれないというのも、ここに理由があります。

 

 

パワーメーターは単純に、どれだけの力をペダルに伝えたかを計測してくれます。

バテて力を出せなくなると、その現実を残酷なまでに瞬時にサイクルコンピューターに示してくれます(笑)

 

そしてこのどれだけ力を出しているのかが瞬時に分かるというのは、二つ目のメリットでもあるページングに活用出来るということに繋がります。

 

 

パワーメーターによるペーシング

パワーメーターはどんなシチュエーションでも、純粋にどのくらいの力を出力を出しているのかを示してくれます。

これがなぜペーシングに有効なのかというと…

 

どんな登りでも、下りでも、平坦路でも、どんなスピードで走っていようが、同じだけの力を出していればパワーは一定になります。

 

当たり前ですが、同じ力で走れば、平坦な道よりも登りの方が遅くなりますし、同じ平坦路でも風向きが違えば速度も違ってきます。

 

いつも使っている道だとしても、風が変わると空気抵抗の大きな自転車はタイムが大きく変わるので、速度というものは全くペーシングに使えません。

 

よくアベレージ○○kmで走った!という話をすることも多いかと思いますが、同じ50kmを走った時でもアップダウンの多いコースと平坦ではアベレージは大きく異なりますし、同じコースでも風によってタイムは大きく変わってきます。しかし、タイムが変わったからと言って必ずしもパフォーマンスが上がっている、下がっているとは限りません。自転車の速度は自分の要因というより外的要因によって大きく変わってきてしまうのです。

 

 

その点パワーメーターはどれだけ力を出したのかという、乗る人間の内的要因によってのみ変化してきます。速度が40kmだろうと、20kmだろうと、200wで走っていれば、純粋に200w分の力を出しているということがわかります。

 

 

そのため、トレーニングの際には登りでの踏みすぎや、下りでの脚の止めすぎ、平坦路での追い風などによる走れているつもり、を防ぎ、常に同じトレーニングを行う事が出来ます。

 

 

レースにおいては、自分のFTPを把握していれば、どのくらいのパワーを出せばどのくらい持つのか、というのが事前に把握しやすいので、オーバーペース、アンダーペースを防ぐ事が出来ます。

 

 

これは特にペーシングが重要なロングのレースには大きなアドバンテージになります。

 

パワートレーニングについてまとめる・・・

  • パワーとは、力×スピードによって表さられる。
  • パワーとは心拍と違い自分がどれだけ出力したかのみによって変化するもので、外的要因には一切作用されずに正確な数値表す。
  • どんな時でも伝えられた力を表すことにより、正確なトレーニング、再現性の高いトレーニング、正確なペーシングが行いやすくなる。

 

 

次回は具体的にパワーメーターを使用してどのようにトレーニングに生かしていくかについてです。次回も是非チェックしてみてくださいね!



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